ボイラー連続ブローについて分かりやすく解説します。
- 連続ブローってなに?
- なんで必要なの?
- ブロー率とは?
- 連続ブロー量はどうやって決めるの?
- 連続ブロー装置ってどんなもの?
こんな人に向けた記事です。
この記事の主な内容は以下の通りとなります。
⇒連続的にボイラー水を系外に排出すること。
・連続ブローの役割
⇒ボイラの水質を目標値内に維持すること。
・ブロー率
⇒ブロー率=ブロー量/給水量
・連続ブロー量の決定方法
⇒3項目のボイラー給水の濃度とボイラー水の管理目標値の比率で決定。
・連続ブロー装置
⇒冷却器や計測機器をユニットしたもの
では、詳しく見ていきましょう。
ブローの役割と種類
ボイラー水は蒸発により不純物が濃縮するので、水質を維持するためにボイラー水を系外に排出する必要があります。この排出水のことを「ボイラーブロー」と呼びます。
ボイラーブローは、その目的により、以下のように連続ブローと間欠ブローに大別されます。
連続ブロー
ボイラ内の缶水表面付近から蒸発によって不純物が濃縮したボイラー水を連続的に排出して、ボイラー水の水質を規定値内に維持するために行います。
間欠ブロー
ボイラー水内の軽い浮遊物や油脂などを排出するための表面ブローと、スラッジなどボイラーの水底に溜まる不純物を排出するための水底ブローがあります。どちらも連続的に行うわけではなく、一日に一回など定期的に行います。
水質を管理しなければならない理由はこちらの記事を参照ください。
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連続ブロー率
ブロー率とは連続ブローによって排出されるブロー量をボイラーへ補給される給水の量で割った数値を言います。
$$ \text{ブロー率(%)} = \frac{ブロー量(kg/hr)}{ 給水量(kg/hr)} \times 100$$
また、その逆数を濃縮倍率と呼びます。
$$ \text{濃縮倍率} = \frac{給水量(kg/hr)}{ ブロー量(kg/hr)} $$
ブロー量(ブロー率)の決定方法
ブロー率は塩化物イオン、全蒸発残留物(電気伝導率)、シリカの給水濃度とボイラー水内の濃度の管理目標値の比率の中で一番大きい数値を採用します。ブロー量はブロー率と給水量を掛け算することで求まります。
式で表すと以下の通りです。
$$ブロー率 = \frac{給水中の濃度}{ボイラー水中の濃度の管理値}$$
$$ブロー量(kg/hr) = \text{ブロー率(%)}\times 給水量(kg/hr)$$
連続ブロー量の計算例
1.5MPaの水管ボイラを題材にして、連続ブロー量の計算をしてみましょう。
イオン交換水を使用して、りん酸塩処理を行う場合を考えます。
給水の流量と水質は以下と仮定します。
給水量:3000kg/hr
電気伝導率:3mS/m 塩化物イオン:2mg/L シリカ:1.5mg/L
常用圧力が1MPaを超え2MPa以下の水管ボイラーのボイラー水の管理値はJISで以下のように定められています。(最新の値は最新のJISにて確認願います。)
電気伝導率:120mS/m以下 塩化物イオン:150mg/L以下
シリカ:50mg/L以下
では、それぞれの項目についてブロー率を計算します。
・電気伝導率ベース
$$\text{ブロー率} = \frac{3}{120} \times 100 = 2.5 %$$
・塩化物イオンベース
$$\text{ブロー率} = \frac{2}{150} \times 100 = 1.3 %$$
・シリカベース
$$\text{ブロー率}= \frac{1.5}{50} \times 100 = 3.0 %$$
以上の条件では、シリカベースで計算したブロー率が一番高いので、この条件下でのボイラーのブロー率は3%となります。
ブロー量は
$$ブロー量 = 3000kg/hr \times 0.03 = 90kg/hr$$
となります。
連続ブロー装置とは
ブロー水を冷却するための冷却器、流量計や温度計、ブロー水の成分を分析するための機器などをユニット化した装置を連続ブロー装置と呼びます。
高圧であるブロー水はそのまま大気へ放出するとフラッシュしてしまうので、連続ブロー冷却器でボイラ給水や冷却水と熱交換して、100℃以下まで温度を下げて排出します。
また、ブロー水の伝導率やPHを測定するための機器の耐熱温度までブロー水を冷却する必要がありますが、この場合はサンプリング水冷却器を設けてさらにブロー水の温度を下げる必要があります。
また、上述の通り、ボイラー水の水質を一定に保つためには、連続ブロー量の管理が重要になるため、流量計と自動弁を設けて連続ブロー量の制御を自動化する場合もあります。このようにブロー水を管理するための冷却器や計測機器、流量計やバルブなどをユニット化した装置を連続ブロー装置と呼びます。
以上、参考になれば幸いです。