給水加熱器の基本について分かりやすく解説します。
給水加熱器とは
・復水器で捨てる熱を有効利用し、ランキンサイクルの熱効率を改善する。
給水加熱器は、タービンの抽気を利用してボイラ給水を加熱するための機器です。
復水器で捨てる熱を有効利用し、ランキンサイクルの熱効率を向上させるために設置します。
給水加熱器の設置により、なぜランキンサイクルの熱効率が上昇するのかはこちらの記事をご参照下さい。
給水加熱器には直接式と間接式があり、給水加熱器と言えば一般的に間接式を指し、直接式は脱気器と呼ばれます。
以降、本記事でも給水加熱器=間接式給水加熱器とします。
また、給水加熱器は、ボイラ給水ポンプの上流側に設置されるものを低圧給水加熱器、下流側に設計されるものを高圧給水加熱器と呼びます。
給水加熱器の構造
下図に給水加熱器の概略図を示します。
給水加熱器は、円筒形の容器内にU字の管を多数の配置したものです。
管内に給水を通し、管外にタービン抽気(タービンから取り出した蒸気)をジグザグに通すことで、管表面の伝熱により熱交換を行います。
熱交換の形態は下記の3つに分けられます。
②コンデンシングゾーン ⇒ 蒸気の凝縮熱による熱交換
③ドレンクーリングゾーン ⇒ 凝縮水を飽和温度以下にする熱交換
②コンデンシングゾーン、③ドレンクーリングゾーン、①デスーパーヒーティングゾーンの順で、熱貫流率が高いです。(熱の移動がし易く効率が良いです。)
給水加熱器の温度特性
給水と加熱蒸気の温度特性を下図に示します。
給水加熱器は主にタービンメーカー所掌とする場合が多いです。
タービンメーカーに給水加熱器を発注する際は、給水と蒸気条件の他に、I.T.D(DCとも言う)を指定して熱交換伝面の多少及び熱効率を、T.T.D(TDとも言う)を指定して使用蒸気のスペックを規定します。
節炭器との違い
●給水加熱器 ⇒ タービン抽気で給水を加熱
節炭器も給水加熱器も給水を加熱する点で、役割は同じですが、加熱に使用する熱源が異なります。
節炭器はボイラ排ガスを利用して給水を加熱します。
ボイラ排ガスの温度が下がるため、ボイラ効率が上昇します。
一方で、給水加熱器はタービン抽気を使用してボイラ給水を加熱します。
復水器で捨てる熱を少なくすることが出来るので、プラントの熱効率が上昇します。
以上、参考になれば幸いです。
この記事は、「わかる蒸気工学(日新出版)」を参考に書いています。
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