タービン背圧と効率の関係を式で確認
以前ご紹介したように(以前の記事はこちら)、ランキンサイクルの効率は下式で表すことが出来ます。
$$\zeta=1-\frac{h_4-h_1}{h_3-h_1}・・・・・・式(1)$$
h3はタービン入口蒸気のエンタルピー
h4はタービン出口蒸気のエンタルピー
h1は復水器出口のエンタルピーです。
この式からh4(タービン出口蒸気のエンタルピー)を小さくすれば、第2項の分子が小さくなるので、ランキンサイクルの効率ζは大きくなることが分かります。
ピストンに例えると
このことは、ピストンに例えると簡単です。
ピストンが固定されているシリンダー内に外圧より圧力の高い蒸気を封入します。(状態①;下図左側)
ピストンを自由に動かせるようにすると、蒸気は膨張し、ピストンは右側に移動します。(状態②;下図右側)
蒸気がピストンを動かせるのは蒸気の圧力P1が外気圧P2より大きいからです。
では、ピストンをより大きく移動させるにはどうすれば良いでしょうか?
そうです。
蒸気の圧力P1を高くするか、外気圧を低くしてP1とP2の差を大きくすれば良いです。
これは、タービンでも同様で、タービンの入口蒸気圧を上げるか、外圧(タービン背圧)を下げることでより多くの仕事をすることが出来ます。
T-S線図で確認
さらにT-S線図でも見ていきましょう。
タービンの背圧を下げると下図の様に線①-④が下方に移動します。
線で囲まれた面積は、仕事に使われた熱量を表します。
タービン背圧が下がることで①-②-③-④で囲まれた面積が増えますから、このランキンサイクルで行った仕事量が増えたことが分かります。
背圧は冷却水温度に依存する
タービンの背圧をさげるには、復水器によってタービン出口蒸気を冷やし、蒸気を凝縮させ(蒸気を水に戻し) 、急激に体積を減らすことが有効です。
背圧をより低くしたければ、蒸気をより低い温度に冷やさなければなりませんが、これは復水器の冷却水の温度に依存します。
復水器内の圧力は、器内の水の飽和蒸気圧になるからです。
冷却水の温度はプラントを建設する場所に依存します。
冷却水に海水を使用する場合は、海水温度で復水器内圧力の下限は決まりますし、空冷する場合は気温に依存します。
このため、タービン背圧はプラントの建設場所の環境によって決まってしまいます。
以上、参考になれば幸いです。
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