ランキンサイクルとは? ランキンサイクルにおける水(蒸気)の流れ
● タービン
● 復水器
● ポンプ で構成され、
燃料が持つ化学エネルギーを水(蒸気)を介して仕事に変える蒸気サイクルです。
ランキンサイクルとは下図の様なボイラ、タービン、復水器、ポンプで構成される最も基本的な蒸気サイクルを言います。
図中の①~④の水・蒸気の状態について説明します。
① ; 蒸気タービンから排出された蒸気が復水器によって冷やされ、凝縮される。
② ; ポンプによって復水器の水が昇圧され、ボイラへ給水される。
③ ; ボイラにて 石炭、重油、天然ガスなどを燃焼して発生した熱で圧縮水②を加熱し、圧縮飽和蒸気を発生させ る。 さらにボイラにて蒸気を過熱し圧縮過熱蒸気③をタービンに送気する。
④ ; タービンで膨張した蒸気④が復水器によって凝縮され、水①へと戻る。
このように水(蒸気)が復水器→ポンプ→ボイラ→タービン→復水器と循環して、燃料が持つ化学エネルギーを水(蒸気)を介して仕事に変えるのがランキンサイクルです。
T-S線図とP-V線図でさらに詳しく見ていきましょう。
ランキンサイクルの「T-S線図」と「P-V線図」
ランキンサイクルを
● 縦軸に絶対温度T、横軸にエントロピーSを取ったT-S線図 (温度-エンタルピー線図)
● 縦軸に圧力P、横軸に体積Vを取ったP-V線図 (圧力-体積線図)
に表すと下グラフのようになります。
グラフ中の①~④は先ほど示したランキンサイクルの概念図に記載している番号と対応します。
(少し見にくいですが、上の概念図とグラフを見ながら下の文章を読んでください)
① ⇒ ② ; ポンプによる昇圧
【T-S線図 】給水ポンプの摩擦により給水が少し上昇。
【P-V線図 】ポンプにより給水の圧力が大きく上昇。
② ⇒ ②’ ; ボイラによる給水の加熱
【T-S線図 】ボイラによる給水の加熱により温度及びエンタルピーが上昇。
【P-V線図 】給水の温度上昇により、給水が膨張。体積増加。
②’ ⇒ ②” ; ボイラの加熱により蒸気が発生
【T-S線図 】ボイラの加熱により給水が蒸気へ変化。エントロピーが上昇
【P-V線図 】蒸気の発生により体積増加
②” ⇒ ③ ; ボイラにより蒸気を過熱
【T-S線図 】ボイラにより蒸気を過熱。蒸気温度とエンタルピーが上昇
【P-V線図 】蒸気の温度上昇により体積増加
③⇒ ④ ; タービンにて蒸気が仕事をする(蒸気がタービン内で膨張する)
【T-S線図 】蒸気が膨張して温度が低下。断熱膨張のためエントロピーは変化なし
【P-V線図 】タービン内で蒸気は膨張し、圧力は低下・体積は上昇
④⇒ ① ; 復水器にて蒸気が冷やされ、蒸気が凝縮する
【T-S線図 】蒸気が凝縮し、エントロピーが低下
【P-V線図 】蒸気が凝縮し、体積が減少
横軸に取ったエントロピーとはS = dQ/ T で表さる状態量ですから
S×T=dQ
となり、①②③④の線で囲われた面積は、この蒸気サイクルによって行われた仕事を表します。
ランキンサイクルの熱効率
ランキンサイクルの熱効率は以下の式で表されます。
$$\zeta=\frac{サイクルで仕事に利用された熱量(T-S線図上で①②③④で囲われた面積)}{サイクル中で加えられた熱量}$$
$$ =\frac{(タービンでの仕事w_2)-(給水ポンプの仕事w_p)}{ボイラで加えられた熱量q_2}$$
給水ポンプの仕事wpは、タービンでの仕事w2に比べて十分に小さいので無視して、w2とq2をエンタルピーで表し、上の式を書き直すと
$$w_2=h_3-h_4$$
$$q_2=h_3-h_1$$
$$\zeta=1-\frac{h_4-h_1}{h_3-h_1}・・・・・・式(1)$$
となります。
ランキンサイクルの効率を上げるには
式(1)より、ランキンサイクルの効率を上げるには
①タービン入口蒸気のエンタルピーh3を大きくする(蒸気圧力、温度を高くする)
②タービン出口蒸気のエンタルピーh4を小さくする(蒸気圧力、温度を低くする)
であることが分かります。(h1はポンプでくみ上げる飽和水のエンタルピーなので、あまり変化しません。)
以上、ランキンサイクルについて紹介しました。
参考になれば幸いです。
こちらの記事は「わかる蒸気工学(日新出版)」を参考に書いています。
かなり分かりやすいのでお勧めです。